ご挨拶
「誰もがその人らしく地域で生活できる社会をつくる」
平成２８年６月、このビジョンを実現していきたいという思いから法人を立ち上げました。それまでの20年、私は障がいのある方の福祉に関わってまいりました。この間の障がい福祉制度は大きな転換期でもあり、特に平成15年の「支援費制度」の導入以降、地域生活支援の拡大など、それまでの「措置制度」から大きく転換されたことは強く記憶に残っています。
実際、障がいのある方の地域生活を支援するにあたっては、直面する課題が多くありました。しかし、この課題はご本人に対する支援だけで解決するものだけではなく、地域の課題として捉えていくものだと気づきました。無知は誤解を生み、偏見に変わると言われています。「知らない」ということは、その人が何に困っているのか、何が必要なのかを考えられないだけでなく、場合によっては存在そのものを意識できないことになるのかもしれません。障がいのあるなしということが課題ではなく、顔が見える地域になっているのかどうかどうか。つまりお互いを知り、理解を深めていくことが大切なのだと思います。地域の中には、きっとそのような環境が障壁となって自分の生活に生きづらさを感じている人もいるのではないでしょうか。
物の見え方、捉え方は一つではありません。同じ山でもどの角度から見るかによって、やさしい山であったり険しい山に見えたりすることもあります。多様な考え方や生き方を認め合い、必要な時には協力し合えるような素敵な地域にするためにも、様々な人たちが自然に交流できるような機会や流れを創っていくことや、その人を正しく理解できるよう取り組みをしていくことが法人としての役割なのではないかと感じています。そこにどのような支援があれば良いのかを常に考え、「自分だけが良ければよい」のではなく、様々な課題に対して「自分ごと」として捉えられるような、そんな社会をつくることを仲間とともに目指したいと思っています。
もし生活をする上で生きづらさを感じる人がいるのであれば、その生きづらさを周りが障壁として感じさせないようにできる地域さえあれば、きっと軽減されていくでしょう。当法人としてできることは本当に小さなものかもしれませんが、これからの取り組み一つひとつがいつか強い根を張り、そして地域に広がっていくことを信じて活動していきたいと思います。まだまだ小さな組織ではありますが、地域において信頼性の高い法人となるよう精進して参りますので、皆様のご指導を宜しくお願い致します。
理事長 平川大輔
